春は移動の季節です 新生活を始めるときに

年度替わりの、特に3月は引っ越しが多いシーズンです。
進学・卒業・就職・転勤・転職、また、学年が変わることに合わせての新居への入居も多い季節です。

新生活への期待と不安が入り混じる時期です。
賃貸住宅への入居にあたっては、家賃・前家賃・敷金・礼金・保証金・鍵交換費用など新しく借りるところについてかかる費用があります。

また、退去にあたっても、原状回復にかかる費用など高額な費用を求められトラブルになることもあります。
退去時のトラブルを避けるために心得ておくことはないでしょうか?

部屋を借りるにあたっては、賃借人の善管注意義務といって、「借りた人は賃借人として社会通念上要求される程度の注意を払って賃借物を使用する義務」があります。要は、借りたものは丁寧に使いましょうということです。
そして、原状回復(借りる前のように)して返すようになります。この原状回復で高額請求がきてトラブルになる事例が多いのです。

国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン (再改訂版)平成23年8月版」にはこのような図があります。

原状回復をめぐるトラブルとガイドライン (再改訂版)平成23年8月版より
https://www.mlit.go.jp/common/001016469.pdf

・建物の価値を上げるようにする部分は大家さん(賃貸人)の負担
・経年劣化や通常の摩耗によるものは家賃にふくまれる
・善管注意義務違反(丁寧でない使い方)や故意、過失によるものは借りた人(賃借人)の負担

ではフローリングに傷があった場合、それが元からあったのか、通常劣化なのか、過失によるものなのか、どうやって見分ければいいのでしょう?

前述の国交省のガイドラインには入退去時の原状回復リストの例があります。

原状回復をめぐるトラブルとガイドライン (再改訂版)平成23年8月版より

まずは、このようなリストがあるか、確認しましょう。
あれば立ち合いのもと、確認・記入しましょう。

引っ越し時は早く荷物を入れねばと焦るのですが、荷物を入れる前に写真を撮りましょう。

丁寧に使っていても、敷金が全部は返却されないこともあります。
敷金は、「賃借人が賃料を滞納したり、賃借人が不注意等によって賃借物に対して損傷・破損を与えた場合等の損害を担保するために、賃借人から賃貸人に対して預け入れるもの」と定義されています。ハウスクリーニング代なども含まれることがあります。
退去時にハウスクリーニングが義務になっている契約があったり、関西圏などでは「敷引き」といって敷金の一部はあらかじめ返却しないという契約もあるので、契約時に確認しましょう。


最近はペット可の物件も増えてきました。
可愛い癒しのペットですが、ペットによる破損、臭いなどの原状回復費用がかさむこともあるので注意です。

賃貸でなく自分の住居であっても、荷物を入れる前に写真を撮ることは役に立ちます。部屋の模様替え、リフォームなどのときに原状を確認できます。
大掃除のときに「最初のようにきれいにしよう」という動機付けにもなります。

近年の人手不足・物価上昇で、ハウスクリーニング代や修繕費用も値上がりしています。将来の退去トラブルを少しでも防ぐために、入居時の確認・写真撮影を忘れずに。


この記事の執筆者:三島 佳予子(Kayoko Mishima)

保有資格:CFP・1級ファイナンシャル・プランニング技能士 / 住宅ローンアドバイザー /宅地建物取引士