子どもと一緒にお金の勉強! お家お店屋さんごっこのすすめ

7月後半からは長い夏休みが始まります。いつもより親子で過ごす時間が増えるこの時期に親子で遊んで学べるお金についての勉強のご提案です。

小学生を念頭にお話を進めますが、それより小さいお子さん、大きいお子さんにはアレンジしてお楽しみください。
2022年4月から高校の指導要領に「金銭教育」が加わりました。ローン契約、投資信託など知識として「金融」に関することはこれからの子どもたちは学ぶ機会が増えていくでしょう。増えていって欲しいものです。
けれど、「金融」だけでは「家庭経営」はできません。お金に関する考え方、感覚は家庭ごとに異なり、親を見て子どもは育ちます。親が子どもに家庭のことを教えるのはとても大事です。だからといって家の経済状況を赤裸々に子どもに語っても子どもは理解できません。子どもの考えはまだ幼くて「家の中では言っていいこと」と「外では言わない方がいいこと」の区別も全部はつきません。「教える」のではなく「一緒にする」ことが子どもは大好きです。
今回はお家でできる「お家お店屋さんごっこ」のご紹介です。

【目的】
お金を通じて欲望のコントロールができるようにする。

【遊び方】
①お店屋さんとしてもらったお金でやりくりする期間を決める。

②親は子どもに1日100円玉1つをあげる。
 (1日100円ずつでもいいし、1週間で100円玉7個、夏休み40日で100円玉40個など様子をみて)

③子どもはもらった100円で買い物をする。 
冷蔵庫の中には、ジュース50円、アイス50円、お茶0円、水0円などを準備する。(今回のお店屋さんはジュース・アイス限定)
お家の冷蔵庫から買い物をしてもいいし、親と一緒に買い物に行ったときに好きなものを買ってもいい。

④親は子どもが足りなくなったお金を稼げるように、1回50円の仕事をいくつか用意する(窓の拭き掃除・草抜きなど)

【準備するもの】
子どものお財布、100円玉、50円玉、冷蔵庫の中に入れるアイスクリームやジュース、お茶

【ポイント】
親は子どものお金の使い方に相談にのっても子どもに決めさせ、子どもの決めたことを尊重しましょう。ここが難しいのですが、子どもにお金を持たせているので、外で子どもがジュース・アイスを買いたいと言ったときは子どものお金で買わせる。(多分、手間取ると思いますが自分で買うのを見守りましょう)また、子どもがやった仕事が親の要求通りにできていないときはお金を払わなかったり、要求以上にできていたら倍の報酬を払ったりと親自身の中でルールを作りましょう(買い物もお仕事も100円と50円だけにしておくと計算がいらないので簡単です)

暑くなってくると子どもからの「ジュース欲しい!」「アイス欲しい!」のとめどない欲求をゲームにしてみました。
冷蔵庫の前に箱を置いて「無人販売所」のようにジュースを1杯飲んだらチャリーンと100円玉を入れて50円玉のお釣りをとっていくようにすれば、親の不在時にもゲームは続けれますね。

お父さん、お母さんも「ビール1本100円」などとして一緒に参加するもの楽しそうです。

子どもの金銭教育というと、「おこづかいをどうしよう」と考えてしまうことが多いですね。
まずは、「家庭内でお金の話ができるようにすること」、「自分で選んで決めていく練習」から始めてはどうでしょうか?
これから子どもが大きくなっていき、スポーツや習い事、塾などでお金がかかる場面も出てきます。高校や大学など高等教育になるにつれて学費や生活費もかかってきます。その頃になっていきなりお金をことを持ち出しても率直に話し合えるか疑問です。普段からお金のことが話にのぼる環境をつくっておきましょう。

「自分で選ぶ」って簡単なようで難しいです。

時間もお金も体力も有限の中で本当に自分が好きなもの、欲しいものが何なのかわからずとまどってしまいます。この「自分で選ぶ」積み重ねが「欲望のコントロール」につながっていきます。お金は欲望の対価が目に見えるので欲望のコントロールを学ぶにはとてもよいツールです。買って使えばなくなるし、買ったものがその金額で満足できたかどうか目に見えてわかるからです。
「宿題をしてから遊ぶか、遊んでから宿題をするか」、「明日の準備をしてから寝るか、明日早起きして準備するか」など、子どもの世界でもいろいろと自分で決めて欲望をコントロールしていく場面は出てきます。ちょっとしたお金の使い方を通じて「判断していくこと」を定量的に考えていく習慣ができればいいですね。

行動経済学で引き合いにだされるものの中に「今すぐもらえる10万円か、1年後にもらえる11万円のどちらを選ぶか」というものがあります。どちらがいいかはケースバイケースでしょうが、「今すぐもらえる10万円」しか選べない状況になるのは好ましくないでしょう。近視眼的行動しかとれなくなるようなことがないよう、練習していきます。

夏休みの終わりには子どもが貯めたお金で、「お父さん・お母さんありがとう」とプレゼントがもらえたら、「夏休みよく頑張ったね」と子どもにプレゼントを買ってあげれたら嬉しいな、というのは親の期待が大きすぎるでしょうか?
参考までに子どもの金銭教育についてのサイトがいくつかあるので紹介いたします。

小学生のみなさんへ - 金融庁
https://www.fsa.go.jp/teach/shougakusei.html

お金のしつけ 家庭・子ども|知るぽると - 金融広報中央委員会
https://www.shiruporuto.jp/public/family/training/


この記事の執筆者:三島 佳予子(Kayoko Mishima)

保有資格:CFP・1級ファイナンシャル・プランニング技能士 / 住宅ローンアドバイザー /宅地建物取引士